人生の勝者は君だ
文責 高木正和 昭和63年卒
京都大学へようこそ!
入学おめでとう。
いま君たちは、これまでの苦労を忘れ解放感に浸る一方、これからの学生生活を謳歌する高揚感を抱いていることだろう。
あるいは少年少女のころから抱いていた夢を叶える貴重な一歩であることを確かめてもいるだろう。
人生は一度しかない。
この世に何を残すのか。
世間は、「今だけ、金だけ、自分だけ」利己的で目端の利いた人間が得をするのを許容する風潮ではないだろうか。
そういう人間はどんな夢を描いているのだろうか。
君たちにも夢があるはずだ。
人から押し付けられたんじゃなく、自らが思い描いた夢があるはずだ。
その夢は誰かから応援される夢だろうか。
或いは誰かの夢を応援したくなったことはないだろうか。
なぜ応援され、応援したくなるのか。
そこに志があるからだ。
志とは、今すぐ叶えられない、お金があっても実現しない、自分のためじゃなく社会を大きく変えるために抱くものだから。
わが京都大学空手道部に夢はない。
あるのは大いなる志だ。
「学生空手を通じて日本の武道の発展に寄与する」
やっていることは空手競技であるが、その本質は武道である。
いかに勝つか。
勝つとは目標を達成することである。
練習量、経験の多寡で勝負が決まるなら、大学から空手を始めれば不利でしかない。
しかし、なぜ京大空手道部は勝てるのか。
正しい練習を集中して繰り返すからだ。
正しさとは結果で実証されるのだ。
自ら考え、自ら実践し、自ら実証する。
青春をかけた、誰にもできない自分だけの挑戦。
敗者はいない。
勝者は君だ。
試合に負けて泣いてる選手がいた。
泣き虫ではなく、負けず嫌いに気づく瞬間だった。
試合に出られなくても、献身的に選手の世話をする部員がいる。
いずれも卒業して今や企業で大活躍、なくてはならない人財である。
京大空手を知ったなら、さあ始めよう!
始めたら続けよう!
それが唯一の成功法則だ。
苦しくなったら休んでもいい。
また始めれば、必ず成功する。
そのとき仲間がきっと、手を引き背中を押してくれるだろう。
押忍